「まだ……ピアノの練習が……」 「もう2時間もぶっ通しで練習したら充分だと思うけど?」 和彦がクスッと笑う。 えっ? そんなに練習してたんだ……。 私はリビングの壁にかけてある時計を見た。 あっ……ホントだ……。 「紗英……」 和彦が再び私の耳元で囁いた。 そして体がフワッと宙に上がる。 和彦が私をお姫様抱っこしていた。 顔が熱くなる。 2年経った今でも和彦は私をドキドキさせる。 和彦は私を抱っこしたままリビングを出て、寝室に入った。 これから始まることは甘い甘い大人の時間――。