―海陽Side―



校長室を出た後、紗英さんとは一言も話すことはなかった。


泣き続ける紗英さんにかける言葉が見つからなかった……。


男なのに……情けない……。


俺が教室に戻ると、休み時間で賑やかだった教室が一瞬静まり返った。


皆、こっちを見てる。


俺は構わず、鞄を手に持った。


そして友達と雑談していた樹里の傍に行き、屋上に来るように告げ、晶斗に挨拶すると教室を出た。