音楽室を出ようとした時、海陽が音楽室に入って来た。
「海陽!」
「紗英さん……」
海陽が私の体をギュッと強く抱きしめる。
「海陽……どうしよう……」
私は顔を上げて海陽を見た。
海陽は私に優しい笑顔を見せた。
何で笑ってられるの?
こんな時に……。
「海陽は怖くないの?」
「怖いよ。怖いけど……こうなっちゃったもんは仕方ないだろ?」
「そうだけど……」
「紗英さん、大丈夫だから……。俺に任せて?だから泣かないで?」
海陽の手が私の頬に触れる。
「俺が先に校長室に行くから、紗英さんは少し遅れて来て?」
私はコクンと頷いた。
海陽はニコッと微笑むと、私のおでこに優しくキスを落として、音楽室から出て行った。



