「あっ!指輪で思い出したけど……」
「えっ?何?」
「水島先生、指輪してたね。今まで指輪なんかしてなかったのに……。ダイヤが埋め込まれてて、右手にしてたけど……彼氏にプレゼントしてもらったのかなぁ……。聞いても先生は笑ってごまかすだけで教えてくれなかったし……」
「さぁな……。俺は興味ねぇからわかんねぇなぁ……」
そう言ってごまかしたけど、俺の胸はドキドキしっぱなしだった。
樹里の鋭い目。
樹里は勘が鋭い。
「海陽?」
「あ、ん?」
「何か考え事?」
「いや……」
「じゃー、私はここで……」
「あ、うん……」
樹里が俺の隣から離れて行く。
俺は突っ立たまま樹里の背中を見ていた。
―海陽Side end―



