私は和彦からもらったバラの花束を花瓶に生けて、それをダイニングテーブルに置いた。
和彦はスーツのジャケットをソファーに置くと、リビングに置いてあるグランドピアノを弾いていた。
和彦の弾くピアノが私の耳に聴こえてくる。
小さい頃からピアノを習っていたという和彦。
私の部屋に来た時には、いつも弾いている。
「ご飯、出来てるから食べよ?」
「あぁ」
和彦はピアノの椅子から立ち上がると、ダイニングテーブルに来て椅子に座った。
「今日、泊まって行く?」
「あぁ、そのつもり」
「良かった。今日の美味しい白ワインを買ってきたの」
私はキッチンの冷蔵庫から冷えた白ワインを出して、ワイングラスと一緒にダイニングテーブルに出した。
そして和彦と向かいの椅子に座った。



