―海陽Side―
紗英さんは職員会議があるとかで音楽室から出て行った。
俺はピアノの練習を終え、音楽室を後にした。
学校には部活をしている生徒以外、誰も残っていなくて、1人で校門を出た。
「海陽!」
後ろから名前を呼ばれ、振り返った。
「樹里……」
樹里が走って俺の傍までやって来る。
樹里とは、あの日から話してなかった。
「帰ってなかったのか?」
俺と樹里は並んで歩き始める。
「智子(トモコ)たちと教室で話してたんだ。そしたら海陽の姿が見えたから……」
もう誰も残っていないと思ってたのに……。
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