「どこ行くの?」
公園に続く並木道を樹里と並んで歩いてる時、隣にいる樹里がそう聞いてきた。
「彼女に誕生日プレゼントしたいんだけど……何がいいのかわかんなくて……一緒に選んで欲しいんだ……」
「何、それ……。自分で選べばいいじゃん……」
樹里はそう冷たく言い放った。
「そんなこと言うなよ……。なっ?頼む!樹里の好きな駅前のカフェのアイスおごってやるからさ……」
俺は樹里の前に出て顔の前で手を合わせた。
「私は食べ物で釣れるような軽い女じゃないんだから……。海陽は女心がわかってないよ……」
「えっ?」
俺は樹里の顔を見た。
今にも泣きそうな顔をしてる。
「樹里?」
「海陽、最低だよ……。海陽は私の気持ち知ってるでしょ?なのに……」
樹里の目から光るものがこぼれ落ちた。
「樹里?ゴメンな……」
樹里に言われて気付いた。
樹里の言うように、俺って最低だ……。
「最低な海陽だけど、幼なじみとして、ひとつだけアドバイスしてあげる。女の子は好きな人からのプレゼントだったら何でも嬉しいんだよ。例え10円のお菓子1個でも嬉しいんだから……。じゃー……私、帰るね……」
樹里はそう言って、俺に背を向けて歩き出した。
樹里、ありがとな……。
俺は樹里の背中を見ながら心の中でそう呟いた。
―海陽Side end―



