「そう言えば……海陽、もうすぐ誕生日じゃない?」



ベッドの中。


腕枕をしながら私の髪を撫でる海陽。



「覚えてくれてたの?」


「当たり前でしょ?7月20日だよね」


「嬉しいなぁ……」


「プレゼント、何がいい?」


「何もいらない」


「えっ?」



私は目だけで海陽を見た。



「何もいらないよ。ただ、一緒にいてくれるだけでいいんだ……」


「海陽……」



ホントにそれでいいの?



「紗英さんは誕生日いつ?」


「言ってなかったっけ?」


「うん」


「4月2日」


「もう過ぎちゃってるじゃん。でも4月2日って……同級生の中で1番早いじゃん」


「そうなのよ!1日生まれだったら誕生日は1番遅くなるのにね。この1日の差は何?って感じ。私が20歳の時は周りは19歳で、皆は10代なのに私だけ20代って……。たった1歳の差なのに全然違うよね」


「俺は男だからわかんないなぁ……」



海陽は私から天井に目を移し、呟くようにそう言った。