「どこ受験するか決めてるの?」
「うーん……まだ、ハッキリとは決めてないけど……とりあえず○○音大かなぁって……」
○○音大って……私が卒業した音大じゃん。
「そこ、私が出た音大だよ」
「マジ!?」
「うん」
「じゃー、そこにする!もし受かったら紗英さんの後輩になるのかぁ……」
「そんな曖昧な理由で決めていいの?」
「いいのいいの。でも紗英さんって、いい大学出てるんだね。やっぱ紗英さんに頼んで良かった」
海陽はそう言うと、水を一口飲んだ。
私が出た音大は、結構有名な大学で、何人もピアニストを輩出している。
でも海陽なら余裕で受かりそうだけどな……。