「紗英さん、右手弾いて?」
「えっ……」
海陽に言われて慌てて右手を鍵盤に乗せる。
海陽の左手に合わせて、ピアノを弾き始めた。
2人で一緒に弾くピアノ。
パッヘルベルのカノンがリビングに響く。
背の高い海陽は中腰でピアノを弾いている。
腰、痛くならないのかなぁ……。
曲も終盤に差し掛かった時、海陽から突然キスされた。
「んんっ……」
キスをしながらも手が動いている海陽。
それに対して私は完全に手が止まってしまった。
熱い熱いキス……。
ピアノの音に、私達の熱い吐息が混ざり合う。
「紗英さんがエッチな声出すから我慢出来なくなっちゃった」
唇を離し、ピアノを弾く手を止めた海陽は私の耳元で囁くようにそう言った。