「水島さん、水島紗英さん、どうぞ?」
私が診察室に呼ばれたのは、診察時間が終わる少し前だった。
海陽を見た。
「ここで待ってるから……行っておいで?」
優しくそう言う海陽に私は"コクン"と頷いて椅子から立ち上がった。
看護士さんに付いて行き、診察室に入った。
初めて足を踏み入れる産婦人科医院の診察室。
40代くらいの男の先生が椅子に座っていた。
「水島紗英さん?」
「あ、はい……」
「どうぞ?」
「失礼します」
私は先生の前にある椅子に座った。
先生から何を言われるのか……。
まるで裁判の判決を待ってるかのような気持ちになっていて、口から心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしていた。



