「あっ!これ……」 立ち止まった樹里が差し出したのはケーキの箱。 「海陽、ここのプリン好きだったでしょ?」 「うん……」 「彼女と食べて?」 「えっ?……でも……」 「いいから」 樹里がケーキの箱を俺の手に無理矢理渡してきた。 「ここでいいよ。ここからは1人で大丈夫だから……。じゃーね」 笑顔でそう言う樹里。 でも樹里の頬を一筋の涙が光っていた。 俺は、走る樹里の背中を見つめていた。 ゴメンな……樹里……。