「俺、またこれから出掛けなきゃいけないんだ」
俺は靴を脱ぎながら、後ろに立っている樹里にそう言った。
「こんな時間に?どこへ行くの?」
「うん……まぁ、ちょっと……」
「言えないとこ?」
「…………ゴメン……」
靴を脱いだ俺は部屋に入って、クローゼットからボストンバッグを取り出した。
後ろを付いて来た樹里は、ただ突っ立って俺を見ていた。
ジャージや私服や下着、それから制服。
必要なものをどんどんボストンバッグに詰めていく。
「これが終わったら送って行くから、そこで待ってて?」
樹里の方に向くことなく、必要なものをボストンバッグに詰めながら言った。
「い、いい。私、帰るね?」
そう言って玄関に行こうとする樹里の腕を掴んだ。
樹里の体が"ビクッ"となる。
「夜道は危ないから。素直に送られろ。なっ?」
俺は樹里にそう言うと、樹里は"コクン"と頷いた。
樹里の腕を掴んでいた手を離して、再び荷造りを始めた。



