息を切らしながらアパートの階段を上がって行く。
階段を上りきって、顔を上げた時、俺の部屋の玄関のドアにもたれ掛かって、しゃがみ込んでいる人が見えた。
樹里…………。
それは制服姿の樹里だった。
何でここにいるんだよ。
樹里は俺に気付いて立ち上がった。
「海陽!」
「ここで何してんの?」
笑顔で名前を呼んだ樹里の顔が、俺の一言で笑顔が消えた。
「今日、学校休んでたから……」
「それでわざわざ来てくれたの?」
「うん……。心配で……。メールしても返事来ないし、電話しても出てくれないし……。倒れてるんじゃないかと思って……」
「あっ、ゴメン……マナーモードにしてて気付かなかった……」
「そうなんだ……。体調崩して休んでたんじゃなかったんだ……」
「あ、うん……ちょっと用があって……」
俺はそう言いながら、パーカーのポケットから家の鍵を出して玄関を開けた。



