―海陽Side―
紗英さんの部屋を出て、自分のアパートまで走った。
紗英さんは妊娠疑惑。
生理が遅れてると言われた時には、軽蔑や嫌いになるような気持ちは全くなかった。
ただ、驚いただけ……。
でも心のどこかでは不安に思ってたのかもしれない。
もし妊娠してたら……。
それは俺の子供じゃなく、アイツ……元不倫相手の子供……。
俺に"堕ろせ"と言う権利はない。
産むのか堕ろすのか、決めるのは紗英さんだから……。
だから怖かったけど、検査薬で調べるように言った。
結果は陰性――。
でも安心できなかった。
それは100%じゃないから……。



