「えっ?晩ご飯?」
「うん。私って優しいでしょ?」
樹里がクスッと笑った。
樹里が晩ご飯を作りに来て、来るはずだった先生は頭が痛いからと断ってきた。
もし買い物してる時に、樹里と先生が会って……。
「そうそう!さっきスーパーで水島先生に会ったよ」
樹里は靴を脱ぎながらそう言った。
やっぱり……。
「樹里?悪いけど……今日は用があるんだ……」
玄関を上がろうとした樹里を止めた。
「えぇ~!せっかく材料買ってきたのに?」
ホッペを膨らまる樹里。
「悪いな……」
樹里はホッペを膨らませてたまま、こっちを見ていた。
「送るから……」
俺はそう言って、スニーカーを履いた。



