【先生×生徒シリーズ】禁断の果実―音楽の先生×男子生徒―





「今さら……都合良すぎるよ……」


『紗英……』


「奥さんが妊娠したから別れてくれって言ったよね?あの時、何て言ったか覚えてる?"父親になるから、もうこんな遊びは出来ない"って……。"子供の父親は俺しかいない。アイツにも俺だけなんだ"って……。それなのに奥さんが流産したから寄りを戻したいなんて……都合良すぎるよ……最低だよ……」


『…………』



和彦は俯いたまま何も言わなかった。



「私ね凄く辛かったんだよ?和彦のこと本気で愛してたから……」


『…………だったら……』



和彦は顔を上げてそう言った。



「和彦?今日、カフェで見たでしょ?」


『えっ?』


「彼……。あの彼がね、私を救ってくれたの……。だから和彦とはもう……ゴメンね……」



私は和彦の言葉を聞く前にインターホンを切った。


これでいいんだ……。


これで……。


そう自分に何回も何回も言い聞かせた。