振り返ると、そこに1人の女の子が立っていた。


えーっと……この子、確か……星野くんといつも一緒に登下校してる子だ。


名前は確か…………。



「花巻さん?」


「そうでーす!」



当たってて良かった。


間違ってたら教師として失格だわ。



「先生、買い物?」



花巻さんがカゴを覗くようにしてそう言った。



「う、うん……花巻さんも買い物?」


「うん。ほら、うちのクラスに星野海陽っているでしょ?海陽って、1人暮らししてるからさぁ……。行って何か作ってあげようと思って」



えっ?


そうなの?



「花巻さんは星野くんが好きなの?」



平常心を装って私は花巻さんに聞いてみた。



「えっ?や、やだ……」



そう言った花巻さんの顔は真っ赤で照れたように笑っていた。


あぁ……やっぱり……花巻さんは星野くんが好きなんだ……。


私と花巻さんは一緒にスーパーを出た。


笑顔で挨拶を交わし、花巻さんの背中を見つめた。


そして、星野くんのアパートとは逆方向、自分のマンションに向かって歩き出した。