「ねぇ、先生?」
星野くんはベンチから立ち上がり、私の前に立った。
「ん?」
顔を上げて星野くんを見る。
「ご飯……食べに行かない?」
「へっ?」
星野くんからの突然の誘いで、思わずマヌケな声が出た。
「俺さぁ……今日の朝から何も食べてないんだよね」
星野くんはハニカミながらそう言った。
「朝から!?」
「うん。だから腹減っちゃって」
今、何時くらいなんだろう……。
腕時計を見た。
腕時計の針は"17時20分"を指していた。
もうこんな時間だったんだ……。
朝から何も食べてなかったらお腹空くよね。
「先生?ダメ?」
なかなか返事をしない私に星野くんはそう聞いてきた。
「いいよ」
「本当!?」
「うん」
「やった!」
そう言って、笑顔を見せる星野くんはやっぱり高校生なんだなと思ってしまう。
あっ……でも……。



