「大学生!?」
和彦はそう言った後、鼻で笑った。
「いけませんか?俺、年上の女性が好きなんですよ~」
「そう。で、キミは紗英を幸せに出来ると思ってる?」
和彦がクスッと笑った。
「もちろんですよ。アナタよりはね」
さっきまで笑顔だった星野くんの顔から笑顔が消えた。
「ほう……。大学生で金のないキミが紗英を幸せに出来ると……」
「えぇ。確かに、まだ学生でお金はありません。でもお金イコール幸せとは限りませんよ。それに奥さんも幸せに出来ないアナタにそんなこと言われたくありませんね」
星野くんがそう言うと、見る見るうちに和彦の顔色が曇っていった。
「紗英さん、行こ?」
星野くんが私の腕を掴んで、椅子から立たせた。
私は和彦の方をチラッと見た。
和彦は窓の外を見ていて、こちらを見ようとしない。
何も言わない、こちらを見ない和彦。
私は和彦から目線を外して、星野くんに腕を引っ張られるようにしてカフェを出た。



