「紗英さんちに行こうと思って、ここの前を通ったら紗英さんの姿が見えたからさぁ……。何してんのかなぁ?って……」
重たい空気の中、笑いながら話す星野くん。
「誰なんだ?キミは……」
和彦が怪訝そうな顔をして、星野くんを見てそう言った。
「そう言うアナタは?」
「俺?俺は…………」
星野くんの質問に言葉が詰まる和彦。
「紗英さんの元彼……」
星野くんはそう言うと、チラッと和彦を見た。
「違いますか?」
今まで聞いたことがない星野くんの低く静かな声。
それに圧倒されたのか和彦は黙ったまま何も言わなかった。



