「先生?」 「ん?」 私はピアノの方を向いた。 「俺には夢があったんだ……」 「夢?」 「親子で一緒に世界でピアノの演奏をすること」 そう言うと、星野くんは再びピアノの鍵盤を指で押さえた。 「だから小さい頃から厳しい練習にも堪えてきたんだ。でも、その夢も叶わなくなっちゃった……」 星野くんがクスッと笑う。 「だから俺はピアノを弾くことをやめたんだ……」 「じゃー……何で、あの時、ピアノを弾いてたの?」 「さぁ?秘密」 星野くんはそう言って、ニコッと微笑んだ。