「うわぁ!すっげー広い!」
部屋に入った星野くんは、リビングをキョロキョロと見てそう言った。
「そ、そうかなぁ……」
「うん。だってさぁ、リビングにグランドピアノが置いてある家なんて普通ないよ?」
「そう?」
「先生、公務員って儲かるの?」
「えっ?どうなかなぁ……」
「だって、こんな広い部屋に住んでんだもん……。家具も高級そうだし……」
「ここは親が所有してるから……」
「えっ?先生って……お嬢様?」
「うーん……どうなんだろう?まぁ、とにかく座ったら?お茶煎れるから……。コーヒーで大丈夫?」
「うん……」
星野くんは、キョロキョロしたままソファーに座った。
私はキッチンでコーヒーを準備した。



