星野くんに借りた服を着て、脱衣所を出た。
「少しは良くなった?」
キッチンに立っていた星野くんが声をかけてきた。
「うん……」
私は小さく返事をする。
「朝ご飯、出来たから食べよ?」
「えっ?」
ダイニングテーブルに目をやると、美味しそうな和食の朝食が並んでいる。
「ゴメン……食べたくない……」
「そんなこと言わずに、味噌汁だけでも飲んで?」
星野くんは私の腕を掴んで、ダイニングテーブルの椅子に座らせた。
お椀に盛られたお味噌汁が私の前に置かれる。
「シジミの味噌汁は二日酔いに効くんだから。これだけでも飲んで?」
お味噌汁をジッと見つめる私。
星野くんは何で私にここまでしてくれるんだろう……。
何で……何で私に優しくしてくれるの?
お味噌汁の入ったお椀が歪んで見えて……私の目からこぼれ落ちた涙は、お椀の中に落ちていった……。



