瞬きした先生の目からポロポロと涙がこぼれ落ちていく。


ゴールデンウィーク前に音楽準備室で見せた時と同じ悲しそうな顔……。



「私ね……彼とは不倫関係だったんだ……」


「えっ?」


「好きだよ、愛してるよ、アイツと別れるから結婚してくれって……そう言ってたのに……。彼の言葉を信じてたのに……私ってバカな女だよね……」


「先生…………」


「なのに今日の夕方、突然やって来て……別れてくれって……。笑っちゃうでしょ?」



泣き笑いの顔をする先生。



「子供が出来たんだって。奥さんに……」



そう話す先生の悲しそうな顔を見て、俺の頭の中には亡くなった母親の顔が浮かんでいた。




―海陽Side end―