「…………彼氏に……フラれちゃったぁ……」
さっきまで泣いてた先生の顔は笑っていて、また妙に高いテンションに戻っていた。
「旅行の前日にさぁ……フルなんて酷いと思わない?」
先生はそう言って、夜空を見上げた。
月明かりに照らされた先生の顔は凄く綺麗で……。
俺の胸を余計にドキドキさせていた。
「そっかぁ……。でも、先生って若いからさ、また素敵な彼氏が出来るよ……」
俺もそう言って夜空を見上げた。
本当は先生が彼氏にフラれて嬉しかったんだ……。
「彼氏にもぉ……同じこと言われたぁ……」
そうクスクス笑う先生。
「ねぇ?星野くーん!」
先生が夜空から目線を俺に移す。
「ん?」
俺も先生を見る。
「どうしたら……1番になれるのかなぁ……」
さっきまでの妙に高いテンションの先生はいなくて、そこにいたのは再び唇を噛み締め、目に涙をいっぱい溜めた先生だった……。



