「先生さぁ……何があったの?」
俺は夜空を見上げながらそう言った。
「な、何もないよ?」
「嘘つけ……」
目線を夜空から先生に移す。
「本当だってば~!」
「じゃー……何で泣いてんの?」
「えっ?」
さっきまでヘラヘラ笑ってた先生の顔から笑顔が消えた。
「何かあったから泣いてんだろ?」
先生は唇を噛み締め、下を向いて首を左右に振った。
ズルズルと鼻水を啜る音が聞こえる。
ジーンズをギュッと握る先生の手の甲の上にポタポタと涙がこぼれ落ちていた。
先生?
何で泣いてんの?
俺は無意識のうちに先生の体を優しく抱きしめていた……。



