キッチンの冷蔵庫からワインを取り出した。


和彦と飲もうと思っていた赤ワイン。


冷蔵庫の前にしゃがみ込み、ワインのコルクを抜いて、私は瓶のまま一気にワインを飲んだ。


ワインが空になったら、次のワインを取り出してラッパ飲み。


忘れたい……何もかも……。


次々と私の周りに転がる空になったワインの瓶。


再び冷蔵庫を開けると、もうワインはなかった。


ワイン……なくなっちゃった……。


買いに行かなきゃ……。


そう思って、立ち上がると、足元がフワフワして宙に浮いてるみたい。


このまま空に上って行けたら……。


私はフラフラした足取りで、財布を持って、マンションを後にした。