いったい何時間、泣き続けたんだろう……。


夕焼けで真っ赤だった空は、真っ暗な姿に変わっていた。


月明かりだけが差し込む薄暗い寝室。


ベッドに顔を埋めて泣いていた。


泣きすぎて目が腫れてるのか、目が凄く痛い。


さっきのは夢だったのか……現実だったのか……。


突然、訪れた和彦との別れ――。


私はベッドの上に転がっていた携帯を手に取った。


和彦の名前を呼び出して、通話ボタンを押した。



"この電話番号からの電話はお受け出来ません"



そう言う機械で作られた女性の声だけが虚しく耳元に聞こえた。


着信拒否――。


やっぱりさっきの出来事は現実で夢ではなかったんだ……。


私は携帯を思いっきり壁にぶつけた。


"ガンッ"と音がして、携帯は床に落ちた。


泣きながら無我夢中でクローゼットの中にかけてある洋服をビリビリに破いた。


フラフラしながら寝室を出て、リビングに置いてあるボストンバッグの中身を全て出して、ごみ箱に捨てた。


赤丸をつけたカレンダーも和彦と撮った写真も……。


全て捨てた。


私の記憶から和彦という存在を消すために……。