「子供が……出来たんだ……」
俯いたまま、そう呟く和彦。
子供?
奥さん……やっぱり妊娠してたの?
妊娠は本当だったの?
「何で?」
その時、初めて一筋の涙が頬を伝った。
「…………ゴメン……」
目を合わせようとしない和彦。
「奥さんとは……セックスレスだって……奥さんには愛がないって……奥さんと別れて私と結婚してくれるって……そう言ったじゃない!」
私は和彦の腕を掴んで、そう泣き叫びながら和彦の体を揺すった。
和彦の体は力無く揺れるだけで……。
「ゴメン……」
と、謝るばかりだった……。
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