「あ、そう。まぁ俺には関係ないからな」

「政志…いや、政志君」

「あ?」

「頼みがあります」

「ノートなら貸さねーよ」

「何で分かったんだよ。とにかく頼む…貸して欲しい。ないと困るんだよ」

「何で?」

「未提出のレポート、一週間以内に出さないとヤバイんだ」

「へぇそれはそれは大変だな。頑張れよ」

「一生のお願い!貸してくれぇ」

「ヤダ…そこらへんの女に貸してもらえ。お前ならすぐに貸してもらえるんじゃねーの」

「それは出来ない。政志君…キミにしか頼れない。あ、そうだ!何か、おごるから」

「俺が食い物に釣られると思うか」

「じゃ……」

「一人でやるんだな」

「俺がここまで頼んでるのに、ひどい…ひど過ぎだよ。政志君」



響は政志の目を
じっと、切なそうに見る。



「おい…そんな目で見るな。ブキミだ」



政志は相手になってくれず。



「……わ、分かった…諦める」



その場を立ち去ろうとした
響だったが、政志が自分のバッグから何冊かノートを取り出して机の上に置く。



「すぐに返せよ」

「政志君、ありがとう。感謝するこの恩は忘れないから」



さっきの顔とは打って変わり
爽やかな表情になった
響はノートを受け取り
昼食を買いに行った。