「今のままで充分可愛いし、瀬戸優木も振り向いてくれると思うっ」




あたしはこれくらいしか言えなくて、いつもの美穂に戻るように言った。




「分かった。頑張ってみる、協力してね?」




「当たり前だよ、親友でしょ?」




美穂が誰かにときめくなんてよくある事。




だけど今回だけは違う気がした……本気で恋してるって伝わってくるんだ。




「まず、今話しかけよ?あたし場所外れるからさ」




あたしの提案にあまり乗り気じゃない美穂だが、無理矢理にでも瀬戸優木の周りに人だかりが少なくなると美穂の手を引いて後ろの席に近付く。




「瀬戸優木くんだっけ?」




「…ん、何?」




質問攻めしている数人の女子を避けてあたしは声をかける。




きっとあたしの後姿しか見たことないはずだから、珍しいものを見るかのようにあたしと目が合った。




確かに顔は否定出来ない…。