コッペリアの仮面 -琺瑯質の目をもつ乙女-


「契約って、何ですか。」
目線を泳がせる。とてもじゃないけれど直視出来ない。
脂汗と悪寒が背中を伝り、お世辞にも良い状態ではない。心臓の音がトクン、トクンと静かに鳴り響く。胎内で聞いた音が逆に私を不安にさせる。

一体私は何を約定為るの?
私を縛り着けて何がしたいの?
幾つもの疑問が駆け巡る。

「何。簡単だよ。」
と彼は此処で一呼吸置く。

「一つ、コッペリアは決して私に逆らわない。絶対の忠義を誓うこと。二つ、コッペリアは此処から逃げようとしてはならない。三つ、仕事はちゃんと熟す事。其の代わり、君は此の屋敷で何をしても良い。君の希望は何でも聞こう。私は君に全身全霊の愛を捧ぐ。……守れるかい?」

「……。」
簡単な様で全く難しい。
併し彼は至極簡単だろう?とでも言いた気に私の顔を覗き込む。圧力が掛けられる。

「――はい。御主人様……。」

「君の心も体も総て私の物だよ。コッペリア。」

彼はうっとりと私を見て、私の髪を一房握る。そして其れに接吻をした。

冷や汗。背筋に一筋の汗が流れ落ちる。
心も………体も?
私は其の言葉を反芻した。