然う思ってしまった自分自身に驚愕為る。
危ない、順化して行ってる。駄目。私は此処から出たいの。
此の人は憎むべきで、私の癒しなんかには成り得ない。私は然う自分に言い聞かせる。忌む可き相手なの。
だから駄目、ダメ、ダメ。
気が付くと彼は私の髪を既に乾かし終わって、私の頭に大きなリボンを装着している所だった。大胆なレェスに目が行く。
チョーカー、靴下、ブーツ。彼は丁寧に一つづつ私の身に着ける。
最後に私に兎の縫いぐるみを持たせた。
――厭だ。此れでは丸で着せ替え人形の様ではないか。酷く、不快だ。
彼は満悦そうな表情をして目線を上から下へとずらし、私に一回転しろと指示を出す。
宛ら、ファッションショーに出るモデルの様に。
膨らんだスカートが靡く。ひらひらと。
暫く私を恍惚とした表情で見た後、やっと彼は満足したらしい。
「私の見立ては完璧な様だね。」
「……はい。」
「コッペリア、君とは契約を結ばなければならない。」
彼の顔付きが出し抜けに精悍に為る。纔か(わずかに)険しい面構え。
改まった態度に疑問が浮上した。
何か十誡でも有るの?

