コッペリアの仮面 -琺瑯質の目をもつ乙女-


……何て形容為れば良いのだろう。筆舌に尽くし難い。

ピンクと白が基調の服。小さい薔薇柄の布地は触り心地も艶も良い。ヴェルヴェットの様だ。譬えるならば古西洋の貴婦人が身に纏ってそうな。華やかなミニ・ドレス。コルセットの細さと云ったら。
所々にアンティークレースやらリボン、何段にも重なったフリル。其れに合わせた鉤編みのボレロも付いている。
甘い、ふわふわの綿菓子の様な女の子に似合うだろう服は屹度私には相応しくない。

……矢張り悪趣味。
ふんわりと拡がるパニエ迄も用意している。

私は軽く溜め息をついた。仕様が無いので其れを着用してみる。
私は此の恰好で過ごさなければならないのだろうか。苦痛だ。否、雪辱の域に入る。
肌触りが良いのがせめてもの救いだ。

取り敢えず着替えた私はバス・ルームから出た。
ぽたぽた、と髪から雫が滴り落ちる。
髪の毛乾かさなくては。傷んでしまう。ストレートの髪は濡れると若干畝る(うねる)。

然う思い、彼の元へと向かう。彼は未だ彼の部屋に居るのかしら。
此処からは余り複雑な道ではないので覚えている。
物覚えは大概、良い方。