私は此のシャトゥの中で一日を過ごすの。

ううん、日がな一日なんてモノじゃない。丸で時が流れていないかの様だわ。此れからも、此れ迄もずっと悠久成る時を私は此処で暮らすの。
此処は汚辱に塗れた世俗から離れた至高の楽園。人類の罪等在りません。快楽に、享楽に絡み取られ溺れ死ぬの。
咲き乱れた華、歌声綺麗な小鳥。然して輪廻の環。

其れは逃れられない運命。前世から定められているの。

外界に出るなんて考えれない。私の蒼褪めた肌に日光が当たるなんて其れ程厭わしい事は無いわ。

第一、御主人様は私を此の麗しい匣の中から出しはしない。
外に出たく無い、なんて言ったら嘘になるかも知れないけど。私は契りを破れない。
ずっと、縛られているの。彼の微笑に、温もりに、哀しみに。
其れは歎きの連鎖。

私が紡ぐ言葉は全て嘘。
でも全て真実。
相反する心理。不思議と心地良い物ね。

だから誰も私を信じないで。私に近付かないで。私は御主人様が必要としている天使の姿で土に還るの。
然う、私は平気で貴方を裏切る。例え貴方が死んでも私は平生を貫き通すわ。

覚悟は良いかしら?