鼓動が激しく胸をうつ



「結華……」



ドクッ



「ここで働いてたんだね」



「はい…」



直輝……



「直輝………」



直輝………!!



「うん?」



「会いたかった……」



本当は……

会いたかったよ……




蓋を閉めたはずの心から、直輝への想いは溢れ出した。





「申し訳ありませんが、美月さんをお借り致します。」


"美月"とあたしを呼ぶ声を聞いて、全て溢れ出てしまいそうだった想いを抑えた。



「待って」


「直輝…」



直輝………



直輝の名前を小さく呼ぶ心に、"あたしは美月"と言い聞かせた。




「美月ちゃん?どうした?顔色悪いよ?」


「あっ、すいません。大丈夫です」


直輝……


どんなに"美月"に戻ろうとしても、すぐに心の一番奥にいる"結華"が邪魔をする。





「美月さん。先程の新規のお客様が帰られるそうなので、送り出しお願いします。」


直輝……