「釣りはいらないです。ありがとうございました。」


「兄ちゃんも大変だねぇ。」







眠っている結華を抱き抱え、俺の部屋のベッドに寝かせると



「ん…………」


目を瞑ったままの結華は、俺の首に手をまわして抱き寄せた。


「いいの?」


もう抑えきれないよ……?

ずっと……こうしたかったんだ……





………………?


俺の問いかけに何も答えない結華の目から、一筋の涙が流れた。




くそ………ッ!







何を想ってるの?

誰のため……

何のため……?





俺は結華の頬にそっとキスをした。


「こうしてていーい?」


目を瞑ったまま結華はそっと呟く。


「いいよ」




結華をそっと抱き締めたまま、複雑な想いを抱え俺は眠りについた。





君の体温を感じながら……