「前田さん、すいませんけど早退します。」


「他の客どうすんの?」


「後でフォローします。
体調悪くて早退したって言って下さい。」


「はぁ…………」




前田さんに伝えると、俺は結華の元へ戻り、結華を抱き抱えながら


「いいんだよね」


「……………」


そう小さく呟く俺の言葉に、結華は何も答えずに目を瞑っていた。







店から出て、タクシーに乗り込もうとした時――


「直?」


背後から聞こえる、聞き覚えのある声に振り向くと



「……!!!?この前の女じゃない!!どこ行くの!!?」



まずい……詩織だ……



「なんなの!?ねえ!直!」


「わりい!今度話す!」



そう詩織に告げてタクシーに乗り込んだ。



「直!!あんたにいくら使ってると思ってんのよ!!!!!」



「……出して下さい」