指名客の席をまわりながらも、俺の視線はずっと結華に向いていた。 あんな笑顔初めて見たな…… だけど天使の微笑みが、向けられているのは俺じゃなく――― 悟だ…… あいつはどんな客でも笑顔にさせる。 だからってあんな笑顔…… 俺は悟にどうしようもない程嫉妬した。 「でね~!直聞いてる?」 「あぁ、聞いてるよ」 「それでね~」 俺は客の話なんてろくに聞かずに、ひたすら相づちを打ち続けた。 「お願いします。」 やっと結華の所へ行ける。