扉を開けた瞬間
時間の感覚を狂わせるような、薄暗い部屋から

今にも壊れてしまいそうな程に
不安げな表情をした結華が飛び出してきた



「ねぇ!どこに行ってたの!!?」




結華……




「何かあったの!!?ねぇ直輝!!」



「……………」




結華…………



結華…………!!





今すぐ抱きしめたい




今すぐ抱きしめて
その不安を拭ってやりたい……




「ねぇ!!香織さんって誰なの!!ねぇ!!教えて!?」



結華は俺の胸を掴んで強く揺さぶる――




その腕を引き寄せて




抱きしめられたらどんなにいいか……




なんでもないよって




昨日までと同じように……






でも―――




「…………ごめん」




ごめんな結華




できないんだ





「何………?」




「ごめん……」




「何なの!!!?」




「ごめん……俺……」



結華……

結華…………!!!



「俺………もう………」




「直輝!!直輝!!」



できないんだ……




結華のそばにいることも




結華を守ることも




結華の心を




光で満たすことも――








「ねぇ!!違うよね!!?」





ごめんな





結華………






「……一緒にいられない…」




「嘘………そんなの嘘だよね!!?」




「ごめん………」






愛してる






さようなら






バタン