幸せな余韻に浸ったまま

もう一度目を閉じた時



ベッド横のガラスのサイドテーブルから



着信音が聞こえた



サイドテーブルに手を伸ばし

薄目を開け、液晶画面を見てみると




『着信 香織さん』




普段、着信画面に名前が乗る事など滅多にない名前に





俺は飛び起きた




「もしもし………香織さん!?」




『直くん………りおが…………りおが………』




携帯を耳に押し付けると
電話の向こうで泣きじゃくる
香織さんの声が聞こえた





「今どこですか!?はい。はい。そこにいて下さいね!!!」




りおちゃん………





「直輝?」



そう俺の名前を呼ぶ結華は


いつになく不安そうな瞳をしていた



「わるい!ちょっと出てくる!」


ごめんな。結華……


後でちゃんと話すから



「待って!どこ行くの!?」



バタンッ



俺を追って玄関まで来た結華が



どんな気持ちで俺の背中を見ていたのかなんて



俺には気付くことなど



できなかった



そして



その不安を拭い去ってやることも