《結華……愛してるよ…》
「結華……結華……!!」
「ママ…………」
霞む瞳はママのシルエットを映し出し、違和感を感じた左手を見ると、点滴の針が刺さっていた。
ぼんやりとした意識が、下腹部の微かな痛みに現実味を帯びて
「赤ちゃん…赤ちゃんは!?」
あたしの記憶が鮮明に蘇った。
「…………」
何も言わずにうつむくママの姿が、儚い命が散った事を物語っていた。
もういないんだ………
あたしと慎の赤ちゃん……
もういないんだ………
確かに存在した小さな命を、噛みしめるように手をあてると………
一筋の涙が頬を伝った。
慎………
「慎は!!?」
「意識不明の重体だって…」
まだ生きてる……
生きてるんだね………
「慎はどこ!?」
「まだ安静にしてないと…!!」
「お願い……慎に会わせて……」
「…………お医者さんに聞いてくるね」
あたしがここでじっとしていられるはずもないだろうと、諦めた様子でママは病室を出た。
ん………?
これは………?