バイトにも慣れてきたある日――
「やめて下さいっ!!」
「いいじゃねぇか~減るもんじゃねぇし~」
酔っぱらいのサラリーマンはあたしのお尻を掴んだ。
「お客様、ここはそういった店ではありません。
またやるようでしたら警察を呼ばせて頂きますよ。」
「んだぁ!?しけた店だなぁ!!」
バンッ!!
グラスが揺れる程の強さでテーブルを叩き、あたしに睨みをきかせながら店を出ようとするサラリーマンに
「お客様、お会計が御済みでないようですが。」
斉藤さんは顔色一つ変えずに、落ち着いた口調で言った。
斉藤さんの落ち着いた口調は怒鳴るよりも恐く、サラリーマンはぶつぶつ言いながらも会計を済ませて出て行った。
