その日も夏休みの講習が終わって、私は図書室へ急いでいた。

今日は最後の点検日だった。

「あ、堀内さん。今から少し図書室を開けるんだけど大丈夫かしら?」

司書室から出てきた先生が申し訳なさそうに言う。


「はい。大丈夫ですよ」

「ごめんね」

両手を顔の前で合わせて先生は出ていった。




―――パンパンパン


本を叩く音だけが図書室に響く。

今日は珍しく人が来ない。ちょっとした淋しさを感じながら私が整理をしていると


キィ――…


扉の開く音がした。

反射的に目を向けた瞬間、私は全ての行動を止めた。





「久しぶり…」