都心から少し離れ、住宅が立ち並ぶここは案外空が広く、 改めてみると自分がほんとにちっぽけに、惨めに見えて仕方なくなる。 そんな気分を紛らわそうと口から音を紡ぐ 『賛美歌』 昔、 教会で、聞いたことのない、綺麗で、繊細で、純粋な、天使を思わせる歌を聞いた。 小さい時だったため曖昧な記憶のなか、 この歌だけは今でもハッキリ覚えている。 開けた窓から涼しい風が入る。 この歌の様になれたらいいのに…――― 叶いもしない願いを心に秘め、うたう。 空をひたすら見つめつづける。 .