「犬…?」
捨てられたのだろうか。





段ボールの中で、ふるふると震えている小さな子犬。
その箱には、『拾ってください』とかかれていた。






うるうると、寂しそうに俺を見ている子犬は、何かを俺に問い掛けているようだった。




何気なく、俺は撫でようと子犬に近寄ろうとした。
その時―――――




「ごめんねぇ?!わんちゃんッ」
なんだか聞き覚えのある声だった。


俺は、無言でそれをみていた。





「はい♪牛乳だよーっ。暖めてきたからねっ!あたしの家じゃ飼えないけど…ここでなら世話してあげられるよ。寒いけど…。」


「わんっ!」
さっきとは正反対の、元気よく愛くるしい声で、大きく鳴いた。



「よしよし♪美味しいんだねっ」
それにしても…

あの後姿、どこかで見た事がある。