「どうだい。明日を取り出された感想は」

「気持ち悪い」

「ははっ。そうだろうね。でも君は今貴重な体験をしたよ。こんなこと、病院で手術しても味わえっこない」

ぼくは呆けた頭で相づちを打つ。

「じゃあ、今のうちに胆嚢(たんのう)しときなよ。深呼吸すれば元に戻っちゃうから」

そう聞くと、ぼくは直ぐさま深く息を吸った。

空気の通る音がして、腹がみるみる膨らむ。

だけど、おかしいのは、いつまでたっても吸い終わらない。

こんなに入って大丈夫かと内心うろたえた。
だけどどんどん腹は膨らんでゆく。

信じられないほど空気が入っていった。
掃除機でもこんなに入らない。


息を止めると、吐き出すはずの酸素らの残りカスは出てこなかった。