「ねぇ、おかあさん。実はプレゼントあるんだ」

透かさずケーキの箱を差し出した。

「これ何」
「開けてみて」

そう言うと、おかあさんは箱を開けて、箱の天井から覗くようにケーキを見つめた。

おかあさんは喜んでくれるはず、「ありがとう」ってぼくを褒めてくれるはずだ。

ぼくはおかあさんの反応に期待していた。

「これ、誰にもらったの」
「ぼくが買ったんだよ」
「裕也が? お金はどうしたの」

そう訊かれて、ぼくは少し心臓が跳ねた。

正直に話していいのだろうか。

信じてくれるのか。
怒られやしないか。
気味悪がって、ケーキを食べてくれないのではないか。

「おこずかい貯めてたんだ」

ぼくは身を守った。

「そう……」

おかあさんの返事は、まだまだ小さいと思っていたぼくが、小学生からしてこんなにも高額なものを差し出した、ということに戸惑っている、そんな風にとれた。