あなた

「嫌だ・・・。」
和也はあたしの服をつかんで弱った声で言った。
「ぜっ・・たい・・・
別れない・・・から・・・」
あたしは後ろを向いたため、
顔が見えなかったけど、
泣いてるんだ・・・あたしは２人も泣かせてしまった。
あたしなんかのために泣いてくれてる・・・。
それがもうしわけなかった。
こんなにもあたしを想ってることが・・・
一番大切な人が・・・
今、あたしのために泣いている。
「別れない。」
ずっと和也は言った。
だけど、もう後戻りはできないんだよ。



そしてあたしは服をつかんでる和也の手をほどき、
荷物を持って出て行った。
あたしは走った。涙がずっととまらない。
拭っても拭ってもとまらないんだ。
そしたら誰かがあたしの腕をつかんだ。
「待てよ！！」
振り向くと和也がいた。
汗をかいてて息もみだれてる。
あたしのためにどうしてそこまで・・・。



「なんで泣いてるんだよ！！答えろよ！」
和也の怒った顔はこわかった。
はじめてだった。
「はなして！！」
強く握り締められた手をほどいた。
「もう・・・疲れたの・・・。
気持ちが重いんだよ・・・
和也は重いんだよ。
ついていけないよ・・・。」
あたしは嘘を言った。
「まどか・・・。俺は・・・